今ではあらゆる情報をワンタップで受け取れるようになり、サッカーの知識でさえも例外ではありません。
有名クラブのトレーニングメニューから、海外育成組織のメソッド。
アンダーカテゴリー代表チームのトレーニング動画まで視ることができます。
しかしながら良い情報に触れたからと言って誰しもが上手くなるわけではありません。
サッカーの難しさはここにあります。
今回はサッカー選手が試合中にどのように考え・判断をしているのかという側面から、どのように上達していくべきかをお伝えできればと思っています。
「上手くなって欲しい」と思いながら実は逆のことをしてしまっているかもしれません。
是非確認を。
感覚と意識

サッカーをしている選手の頭の中は常に動いています。
今は何を見るべきなのか。
どこにチャンスがあるのか。
ピンチに気づいていない選手はいないか。
このようなことを考えていることでしょう。
しかし考えると言っても、何か試行錯誤するようなものではありません。
ほとんどの場合、頭はボーッとしている状態かと思います。
少し語弊のある表現になってしまいましたが、瞬時の判断を繰り返すためには理性的すぎる頭では難しいのです。
少し「野性的な状態」と言ったほうが正しいかもしれません。
頭の中では常に色々な選択肢が渦巻いており、視覚・聴覚情報から直感的または経験則的にピンチやチャンスを探しているのです。
『意識』すること
ただ、何も考えていないかと言われれば嘘になります。
監督からの注意点や細かいポジショニングなどについてははっきりとした『意識』の元、行っているでしょう。
何か個人的な課題がある場合も強力な『意識』がプレーに影響しているはずです。
逆に言えばそのくらい強く『意識』していることじゃないとプレーに影響させることはできません。
複数のタスクをこなすための『感覚』的な動作
基本的にサッカー選手はマルチタスクです。
視ること、声をかけること、ボールに関わることなどをしながら上記のようなことも考えます。
しかしながら人間はマルチ(複数)タスクを上手く処理できるようにできていません。
できることならシングルタスクのほうがより大きな力を発揮するはずです。
自動車の運転を考えてみてください。
慣れていない頃、教習所では「線をはみ出さないように…」「歩行者はいないかな…」「ウインカーは…」と半分パニック状態ではありませんでしたか?
しかしそんな悪戦苦闘した運転も月日が経てば、特に考えずとも運転できるようになります。
そしてそうなってくると運転しながら楽しくおしゃべりをしたり、別の操作もできるようになるはずです。
サッカーでも同じで複数のタスクをこなすために日々の練習の中であらゆる動作・判断を『自動化』しなければなりません。
ルーティンワーク的に動作するものもあれば、野性的に『快・不快』のみで動作することもあります。
これが『感覚』です。
『自動化』するための2つの方法

試合中に考えるべき何かを優先するためにあらゆるタスクを『自動化』する必要がある、とお伝えしましたがその方法は先程挙げた2つになります。
- ルーティンワーク
- 快・不快の感情による感覚的動作
指導者としては、ここが分かると子供に対して何を教えるかが見えてきます。
ルーティンワーク的に自動化する
無意識下で行動する最も単純な方法がこれです。
靴紐を蝶々結びするのもある程度繰り返して月日が経つと喋りながらできたりしますよね。
これと同じでサッカーでよく行う動作をルーティンワークとして『自動化』する事ができます。
例えばボールをコントロールするのに「ボールが足のここに当たるように」とは考えません。
キックするときも同様です。
ここをルーティン化できているからこそ、コントロールの前に顔をあげたり、キックの時にボールから目を外せたりといった「感覚的な動作」ができるのです。
その他にもロングキック後のラインの押し上げなども戦略的というよりルーティンワーク的に行っているチームが多いように見えます。
もちろんライン設定などは都度判断を要しますので、基本的には基礎技術をルーティン化するものだという解釈で良いかと思います。
快・不快による感覚的動作
人間の動作原理として「”快”に近づき、”不快”を避ける」というものがあります。
例えば日差しが眩しいとき、目を細めたり、手で遮光したりする動作がこれに当たります。
これと同じく試合をする中で「なんか嫌だな」や「これは快い」といったものが多くなることで『意識』せずとも『感覚』で動けるようになるのです。
サッカーの例でいうと、周りを見るときの「首を振る」動作は『不快を避ける』動作になります。
サッカーを続けていく中で首を振って周りを見ないことが気持ち悪くなるのです。
背後から何か来ていないか、誰かがプレーを邪魔しようとしているのではないか、気になりその感情を払拭するために自然と動作が生まれます。
ここに判断や考えはありません。
この他にボールを受けるときの体の向きや、自陣ゴール前でのボールへの「寄せ」もこの『不快を避ける』動作になるでしょう。
また「快に近づく」動作でいうと、ワンツーの走り出しなどが当てはまります。
一度ワンツーを経験させていると、パスを出したあと自然と受けることのできるスペースに走り出すようになります。
この場合それをやめるのに判断を伴います。
実はほとんどが『快・不快による動作』
これで考えていくとディフェンスの「スライド」や「マーク」、オフェンスでの「スルーパス」や「動き直し」なども全て『快』か『不快』かで動いていることになります。
しかしこの状態になるためにはあらゆる挑戦と失敗を繰り返さなければなりません。
「感覚的な動作」はその経験値の上に成り立つのです。
『意識』的に動いたことが経験を生み、その経験が『感覚』的な動作の幅を広げてくれます。
『意識』→『感覚』にするためには「単純な目標とフィードバック」が大切

意識をさせるのが感覚を育てると言っても、あれやこれや言われすぎるとよくありません。
マルチタスクを避けるための『感覚』なのに、指示によってマルチタスクを作ってしまっては本末転倒です。
例えばサイドバックの選手に”スライド”を教える際に
「反対のサイドバックが前にプレスに出たら、センターバックの位置にずれるよ」
これだけであればいいものを
「その時に自分のマークも気にしてね。相手がボールに寄っていったら受け渡しの声もかけるよ」
などと言ってしまうと「結局何をすればいいんだっけ?」と頭は混乱してしまします。
まずは大事なことだけをシンプルに伝えなければなりません。
フィードバックは具体的に
そしてそのプレーをした後、フィードバックも必要です。
できた時にしっかり褒めましょう。
具体的に褒めるのがコツ。
なぜならサッカーにおける「良いプレー」やその「成功」が分かりにくい事が多いからです。
「〇〇が絞ってくれてたおかげで相手がサイドに逃げてくれたよ!」
のような感じですかね。
これを繰り返すことによりセンターバックがポジションを空けた時に『不快』を感じるようになり、感覚的にそのポジションを埋めることができるのです。
まとめ:教えすぎは禁物

最後は指導者的な方法論になってしまいましたが、ここから知ってほしいのはあまり教えすぎても良くないということです。
サッカーをする上で指導者が課題を出しているのに、それ以上に考えることがあったら子供のキャパシティを超えてしまいます。
また今回お伝えしたように、基礎を繰り返すことでルーティンとしての基礎技術を覚え、それが無意識下でできるからこそ何か他のことを『意識』することができます。
そしてその『意識』が『感覚』の幅を広げ、それにより更に『意識』をすることができるのです。
また当たり前ですが『感覚』というものが”最初から”・”誰にでも”備わっている、という点も忘れてはなりません。
『感覚』を潰すことなくその幅を広げていけるととても良いですね。
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