今回は『眼』の話です。
「周りの子と比べて少し視野が狭い」などの『眼』のお悩みに限らず、
「周りの子と比べて少し動きがぎこちない」
「周りの子と比べて少し理解力が乏しい」
なども実はすべて『眼』が原因である可能性があるのです。
下の書籍が参考文図書です。
著者によるとプロの世界でも、不調の原因が『眼』にあることがよくあるそうです。
見る力とはどのようなことを言うのかをしっかり認識して、子供の能力を十分に発揮できるようにしてあげましょう!
認知、判断、実行。「見ること」の大切さ

言わずもがなですがサッカーは「判断のスポーツ」です。
その状況に応じて自分で情報を集め(認知)、考え(判断)、プレー(実行)することをすべての選手が求められます。
「見る力」というのはここで言う「認知」の部分に当たります。
つまりこの「見る」という能力が劣っているということが、そのままサッカーという競技のプレーのレベルすらも決めてしまいかねないのです。
『眼』を鍛えることは『脳』を鍛えること

また眼とは元来、お母さんのお腹の中で独立した器官として形成されるまでは脳の一部です。
このことから『眼』という器官と、『脳』という器官は非常に近い存在であり、眼の栄養は脳に、脳の栄養は眼にお互い良いものであるとも言えるのです。
もっと言えばこのことは目を鍛えることが脳を鍛えることにもなり得ると言えるのではないでしょうか。
遠藤保仁選手や小野伸二選手などの『見る力』の鋭い選手は『考える力』も一際高かったように感じます。
技術やフィジカルで他に劣る選手の生きる道は、実はここにあるのかもしれません。
「見る力」とは

ここからは本題の「見る力」とはどういうものなのか解説していきたいと思います。
大きくは3つに別れます。
- 視力
- 両目のチームワーク
- 脳の情報処理機能
一つずつ見ていきましょう。
視力
これはみなさんが真っ先に思いつくものかと思います。
よく学校などでも視力検査などおこないますよね。
これは実は「見る力」のほんの一部でしかありません。
そしてこれは「ものをはっきり見る力」と言い換えることが出来ます。
眼の中の「水晶体」と呼ばれるレンズの厚さをその周りの筋肉で調節することで、わたしたちは「見たい」と思ったものをはっきり見ることが出来ます。
そのためこの水晶体の固くなった状態もしくは、それを動かす筋肉の凝り固まった状態が視力の落ちた状態と言えます。
近年子供の外遊びの減少やポータブルゲーム機の普及などにより、遠くを見る回数が減っています。
各家庭でなるべく視力の落ちないような取り組みが必要でしょう。
いくらゲームを控えていても、ずっと狭い室内にいるのであれば眼にはよくないでしょうし、その反対にゲームをやりながらでも定期的に窓の外を眺めて遠距離・中距離とピントを合わせていれば視力は保たれるはずです。
中高生でコンタクトレンズをつけ始め、がらりとプレーが変わる選手はたくさんいます。
だいたいの選手が「もっと早くつけていれば」と言いますが、中学生ではなかなか怖かったりするのでやはりそれまでの家庭でのケアが最も先決だと思われます。
両目のチームワーク
わたしたちの眼は2つありますが、このそれぞれが見た映像を頭の中で合わせることによってものを立体的に認識することが出来ます。
よく眼帯を付けると「距離感がわからなくなる」と言いますがそれは立体像を作るための情報が片方遮断されるためです。
この状態に近い状態というのが『斜視』です。
近年子供でもスマホを見る時間が増え、その結果『斜視』の患者数も多くなっていると言います。
小さいときから近くばかりを見ているため「両目のチームワーク」が失われ、その結果片目で見る習慣がついてしまいものを立体的に捉えられなくなってしまうのです。
このような子供に広いコートを正しく認識させるのが大変なことは想像に難くないはずです。
脳の情報処理機能
当たり前ですが、眼で見た情報を脳が処理できなければ「見えた」とは言えません。
視覚機能が悪いがゆえに、文章・絵を見て正確に理解する能力が低くなり、そこからこの情報処理機能の発達に遅れを来たします。
つまり文章を読んで意味を理解できない、簡単な図形を書き写せない、などが起こるのです。
頭は悪くないのに授業についていけない、成績が上がらないなどあるようならそれは「見る力」の未発達が原因かもしれません。
「見る力」アップのためのトレーニングとは
参考図書で挙げられているトレーニングは以下の4つです。
- 目の柔軟性を高める
- 目の可動域を広げる
- 両目のチームワークを高める
- 周辺視野を広げる
これらをすべて取り上げるとものすごい量になるので、この記事では割愛させていただきます。
ぜひ別の経路でも良いのでこの著書を購入して読んでみてください。
このトレーニングの部分だけでもお金を払う価値があるはずです。
眼のウォーミングアップ

この本ではトレーニングの前に「眼のウォーミングアップ」を行うことを推奨しています。
この部分だけ簡単に説明したいと思います。
アイ・ストレッチ
これは簡単です。
正面を向いて顔を固定したまま自身の眼を上下、左右、更には右上左下、左上右下と大きく動かして行くのです。
普段動かないレンジまで動かすため、自然とたくさんの眼の筋肉を動かすことになるでしょう。
アイ・ローテーション
次は眼を大きくなめらかに動かします。
これも正面を向いて顔を固定したままで行います。
まずは時計回りに2回転、その後反時計回りに2回転します。
そしてその次は「∞」を書くように、これも2回転ずつ行います。
ヘッドスイング
次は先程と反対、眼を固定して顔を動かします。
正面の何かしらに焦点を合わせ、そのまま顔をゆっくり右に。
その後、元に戻し次はゆっくり左へ。
これを上下もします。
これで眼のウォーミングアップは完了です。
まとめ

「見る力」の勉強をしていると、それが生きていく上での基礎的な力だと気付かされます。
子供の環境が変化していく中で失われ、それが現代になって重要性を再認識する流れにあるのでしょう。
わたし自身も指導の中で「見る」という言葉を何度も使ってきましたが、視覚機能がここまで人間に多くのものをもたらしていることは知りませんでした。
「見る力」を鍛えることで、あらゆる能力を凌駕する力が子供に身につくはずです。
ぜひとも子供の眼についても意識して過ごしていただければと思います。

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