サッカーにおいて大切にされる『見る』という要素。
しかしこれには選手もしくは一般的な目線と、指導者の目線では大きな開きがあります。
今回はそんな幾度となく解説してきた『見る』について更に段階的に深掘り。
『見る』ということを単なる動作として理解しているようではまだまだ不十分だということが分かるかと思います。
ぜひともご一読ください。


見えているのに見えていない⁉『見る』の奥深さ
まず選手たちは試合中に何を見ているのか考えてみましょう。
ボール、味方、相手、スペース…などなど。
この他にも様々な要素が挙げられるかと思います。
ボールがそこにある。
これは誰でもわかります。
味方や相手がどこにいるか。
これも難しいですがトレーニングで徐々に見えてくるでしょう。
そしてそれに伴ってスペースが生まれ、消えていくことも見えてくるはずです。
普通ならここで「はい、あなたは全て見えていますね」と承認してしまいたいところですが、ここで終わらないのがサッカーです。
全てはこれらの要素が関係し合いながら成り立っています。
英語で言うところの「リレーションシップ」です。
なぜ英語訳したのかはさておき、この関係性を『見る』ことができないと本当に見えているとは言えないというのが今回の本題になります。
第一段階:サッカーボールを知ることで『見る』ことができる
前述した通りサッカーにおける『見る』という要素ではそのピッチ上に存在するすべての人やものを的確に把握することがスタートとなります。
その中でも細分化してまずはボールです。
スポーツの中でも「球技」と別くくりにされるだけあって、そのボールの特性を掴むことはとても大事です。
大きさだけでなく弾み方や弾力、重さや回転による変化などもそれぞれ異なります。
これらはノートにとって覚えていくわけではなく、体感して学んでいきます。
これが俗に言う「ボールフィーリング」。
よく低学年や未就学児を対象にしたサッカー教室でボール遊びから入るのはこのためです。
人はボールの動きを追って見ているように感じてしまいますが、実は少し先の動きを予測することで的確に追えていると言われています。
そのためまずはサッカーボールになれることが何よりも大事なのです。
第二段階:相手を見る
ボールが見れたら次は人。
基本的には相手から見るようになるはずです。
ここに来て「ボールと自分」という関係性が「ボールと自分と相手」に増えるのです。
これが俗に言う「1対1」の形。
もっともシンプルで理解しやすい形ですが攻撃側として攻略する難易度がかなり高いので、サッカーのスタートを「2対2」に設定する指導者も少なくありません。
しかしどのみち最初は「ボールと自分と相手」しか見れませんから、その相手に対してボールがどのように関係するかをよく経験しなければなりません。
ボールが動いたら相手はどう反応するのか。
相手と自分の間にボールがあるとき、どちらが先にボールに届くのか。
このサッカーらしい動きや関係性を見ていく中で、「駆け引き」という心理的な要素も含む世界への下準備ができます。
第三段階:味方を見る
味方を見れるようになってくるとサッカーの可能性が格段に広がります。
しかしながらここで味方ばかりに囚われすぎると、一気に視野も可能性も狭まりますので要注意です。
「パスをしなければ」もしくは「パスをするのが良いプレーなんだ」などと偏った考えになるとやっている方も楽しくないでしょうし、その後判断を覚えるのに時間がかかります。
あくまで周りを見る余裕が出てきて、パスをすることに”味をしめて”覚えていくほうが自然で有用でしょう。
話がそれましたが味方の場合は「そこにいる」または「どの向きにどのくらいのスピードで走っている」ということを見れるようになることが大切です。
この速度感のようなものは焦って身につける必要はなくサッカーのレベルが上がるに連れて成長していくでしょう。
完璧は求めなくても大丈夫です。
また多少センスもあります。
最終段階:全体の関係性を見る
この全四段階のうち、6〜7割を占めるのがこのなんとも抽象的な項目です。
例えば、相手が二人いて間が空いているとします。
その間から味方が顔をのぞかせ、パスを要求しているとしましょう。
この相手二人の”隙間”を「パスが通せる」と感じるか「パスは通らない」と感じるかがこの最終段階の『見る』になります。
このワンプレーには様々な要素が含まれます。
まず自分のパスの強さ。
これはその時のボールの状態でも変わります。
そして相手の大きさや動きの速さ。
更にはそもそもの”隙間”の幅。
このうちどれかの認識が間違えているようなら、通らない”隙間”にパスをしてしまう『見えていないプレー』となるのです。
また、通せる隙間を「難しい」と判断してしまうのも何かしらの要素を『見る』ことができていない、ということなのです。
明らかに通らないスルーパスもこれに該当します。
これらを見て指導者は「見えていない」や「見えないものが見えている」と揶揄するのです。(揶揄するのは良くないこともありますよね。あくまでよくある話としてです)
まとめ:学年が上がれば上がるほど最終段階の質が大切。突き詰めれば負けない長所にも
指導者をしているとこの「見えていない選手」というのは本当に多いです。
本人は顔を上げて首を振っており、たしかに周辺の状況を確認できてはいるのですが認識がズレていては良い判断はできません。
そこには本当にパスの通る隙間があるのか。
そこにパスを出して本当に味方は追いつけるのか。
これらは経験しながら感覚を研ぎ澄ませていくしかないでしょう。
意識しながらチャレンジしていくことが大切です。
ただできていない選手が多いということは、これをできるだけで一つ長所を持った選手にもなり得るということです。
さらに言えばこの能力が突き抜けていることで重宝される場面もあるでしょう。
わかりにくい能力ですが、『見る』指導者は見ているのでレベルアップしていきましょう!
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