サッカーを始めたはいいけどなかなか上手くいかず、他に楽しいことを見つけてしまい、サッカーの”美味しいところ”を知らずにやめてしまう子が時々います。
これはひとえに我々指導者の力不足であり、もっとより良い接し方を模索しなければならないことも重々承知なのですが、どうしても力の及ばないところで見切りをつけられてしまう事例があるのも事実です。
サッカーの普及・強化を目指すものとしてはあまりにやりきれないので、その気持ちをこの記事にぶつけたいと思います。
先に言っておきますがこれからするお話は「保護者のこんな行いが悪い!」のようなものではありません。
むしろ悔やまれる多くの事例で親はやる気満々なのです。
やらせる気満々といったほうが正しいのでしょうか。
そしてそんな心強い味方がいるにも関わらず辞めてしまうのは、子供と「約束」を交わしていないことも原因としてあるのではないかと考えています。
サッカーには他の競技や習い事と少し違う特徴があるため、この約束事は非常に大事になってきます。
約束をしていない家庭では今から決めてもいいかもしれませんし、サッカーを始める方が周りにいたらぜひとも教えてあげてください。
約束①:続けること

これを聞くと首根っこを掴んでクラブに連れて行くようで「なんだ、スポ根か」と思うかもしれませんが、そうではありません。
本当に嫌だったり、辛かったりしたら辞めたほうが良いです。
しかし始めて間もない、「これから」の段階では時期尚早と言わざるを得ません。
これにはサッカーが「足を扱う」スポーツであることが影響しています。
サッカーが他の習い事と違うところ
サッカーをライトな気持ちで始めてくれるのは非常に嬉しいことです。
それほど身近な存在であるということですし、やってさえくれればその楽しさを伝える自信があるからです。
しかしサッカーには他の競技や習い事と決定的に違う部分があります。
それは『始めたばかりでは本当に何もできない』ということです。
他のスポーツでは始めてすぐ何もできないなんてことはあまりありません。
スイミングを習って「顔が水につけられない」などはあるかもしれませんが、これは正しくは「つけたくない」だけであって物理的に「つけることができない」というわけではありませんよね?
しかしサッカーでは本当に「ボールが蹴れない(空振りする)」だったり「ボールが思った方向に動かない」なんてことがざらにありえるのです。
それはサッカーが球技特有の『ボールを扱う難しさ』を持つと同時に、『足を扱う難しさ』も共存しているため起きます。
『技術』は『時間』に比例する
しかしながらサッカーの初歩的な技術というのは、基本的に『時間』に比例します。
そのため始めたばかりの子は基本的にそのチームで一番下手な存在となってしまうのです。
ただ、そこから時間が経てば上手になりますし、あとから入った子に対してはアドバンテージを得ることができます。
もちろんその子の特性や生まれながらの運動能力がありますので一概には言えませんし、そもそも知り得ない技術は上手くなることはありません。
しかし最初が難しいだけあって、一旦慣れるとある程度のレベルまではすごい速さで上手くなっていきます。
この序盤のレベルアップは自信にもなりますし、多くの子供が「楽しい!」と思い始める部分でもあります。
このようなことがあるので、指導者はどうにか頑張ってサッカーを続けてほしいと思ってしまうのです。
約束②:チームの活動には積極的に参加する

これも①と似ていますが「長く続けているけど半分くらいしか出席していない」では意味がないため付け加えた節もあります。
そしてそれ以上にもう一つ。
これはサッカーを続ける上で「悪い状況」にならないための約束です。
それは「チームの活動に積極的に参加する」ということ。
これはサッカーが多人数対多人数で行われるという特徴を持つためだと言えます。
サッカーには多くの人が関わっている
まずサッカーの試合というのは多くの人が関わっているということを子供に知って貰う必要があります。
これは他の習い事やイベントでも同じかと思います。
最初に思い浮かぶのはチームメイトですね。
小学生では8人、中学生以上では11人仲間がいなければ試合ができません。
ということは不測の事態に備えて最低+4人くらいの余裕がないと試合はそもそも成立しないことが分かります。
これは相手も同じです。
そしてその選手たち以上の人数の保護者が関わっています。
これは「お茶くみ係」とかの意味ではなく、試合をするためにお弁当や水筒を準備したり、洗濯をしたり、送り迎えをしたりと諸々のサポートが必要なためです。
そしてこの2チームを繋ぐための指導者がいます。
それぞれの大会や地域行事、学校行事などを考え、スケジュールを管理し試合の日程を調整します。
指導者は窓口でありチームの顔。信用を失えば今後の活動に影響も
2チームの試合でさえこれだけの人が関わります。
このようなイベントが急遽キャンセルとなれば、参加予定の人たちはどう思うでしょうか。
キャンセルとはならずとも、人数が少なく相手にならない、もしくは予定の試合数を消化できないなどあればおそらく同じような反応になるはずです。
そのため指導者は信用できる選手かどうかで扱いを変えざるを得ません。
つまり、もし活動に積極的に参加できていないのであれば信用に値せず、出場時間が減っても仕方ないのです。
参加しないから出場時間が短い。
出場時間が短いから上達が遅い。
上達が遅いからつまらなくなる。
このような悪循環に陥ってしまうのは非常にもったいないことです。
約束③:準備をする

もし「サッカーはクラブで練習するもの」と考えているのであれば、それには少し問題があります。
サッカーには『オンザピッチ』と『オフザピッチ』という考え方がありますが、簡単に言うと「サッカーをしているとき」と「サッカーをしていないとき」となります。
そしてこの2つは非常に密接に関係していると考えられているのです。
これにはサッカーが再現性のない連続したゲームであることが影響しています。
そこで提案したい約束事の1つが「準備をする」です。
サッカー用具はもちろん、着替えやタオル、水筒も含まれます。
瞬時の判断は『日常』から
サッカーでボールを味方から受けたとき選択肢は無数にあります。
「ボールを奪われてはいけない」となるから選択肢が限定されるのであって、基本的には手を使う以外何をしてもいいのです。
しかしサッカーを始めたばかりの子はこれを選べないことが多いです。
そして条件を限定されると尚更。
しかしよく考えてみてください。
普段何も考えずとも生活できている子供にこの状況で決められる訳がないのです。
「準備をする」ということは「予測して備える」ということです。
雨が降っているのであれば着替えがいるかもしれませんし、暑い日であれば普段より大きい水筒が良いかもしれません。
以前友達が忘れてもいいように大事な試合にレガースを2人分持ってきていた子もいました。
このようなことを落ち着いた場で考えられない子供が、いざピッチに立って1秒を争う中で判断できるはずがないのです。
最初はゆっくり考えて、ゆっくり動くで良いのです。
「瞬時の判断は日常から」です。

なぜ「約束する」のか

サッカー知っている人であればこのようなことは理解しているかと思いますが、これを『約束する』というのが今回の一番大事なポイントになります。
一度親子で約束をしていない場合を想像してみてほしいのですが、練習に行きたがらない時や準備をしない時に子供に掛ける言葉が「〜しなさい」となってしまいませんか?
「練習に行きなさい」や「準備をしなさい」、もしくはそれに類する命令文です。
これは子供としては自分をコントロールされるような圧を感じて、少し鬱陶しく思ってしまいます。
しかし約束があり、それを「約束したよね?」と再確認するだけであれば、あくまで決めたのは自分であり、約束を守ってサッカーを続けるか、約束を破ってサッカーを辞めるかの権利は常に子ども本人にあります。
ちょっとしたことですがこれが親子関係を健全に保つためには大切なのです。
人は押さえつけられたり、コントロールされたりするとそれに反発しようとします。
そのためこの『約束事』が子供のサッカーで余計なストレスが生まれないようにするちょっとした予防的な緩和策になるのです。
まとめ

この記事でサッカーには「足を扱う」「大人数でプレーする」「自分で判断する」という特徴があり、それによって約束事を取り決める利点があることを分かってもらえたかと思います。
この3項目でなくても、各家庭で「こうしてほしい」ということを約束しておくと、お互い変なストレスなくサッカーに関われるかと思います。
この記事によって多くの子供がサッカーの”美味しいところ”を味わってくれることを願っています。
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