今回の内容は指導者をやっていても気をつけなければいけない見方の問題です。
「うちの子も〇〇くんみたいに一生懸命走らないとダメなんじゃないかしら」
「あー、また歩いてる、、、」
「全然ボールに関わってないじゃない!」
のように子供のサッカーに対する取り組みに不満を持ってしまう方、多いのではないでしょうか。
しかしこのような時に、家庭で強く言ってほしくないのが指導者としての本音です。
同じように将来像を共有して温かい目で見守れるようにぜひ最後まで読んでみてください。
試合経験が少ないうちは仕方ない

試合の経験が少ないうちは何をしていいかわからない子もよくいます。
さらに味方に指示を出されたりして、思考停止状態で余計に動けなくなったりする子もしょっちゅう見ています。
このような子は、まずチームで友達をたくさん作り、チームの活動そのものを楽しむところから始めたほうが良いでしょう。
友達とサッカーを楽しめるようになれば、もし上手くできなくても教えてくれたり、笑ってくれたりします。
そのような環境が思い切ったプレーを引き出し、上達に繋がります。
指導者の指示より友達の指示のほうが聞く、なんてこともよくあることです。
環境づくりをして、あとは友達に任せましょう。
何かを観察している可能性も
本人の頭の中は少し混乱していても、続けていれば徐々にプレーできるようになってくる子もいます。
外から見た試合と中から見た試合はかなり違うのでそのギャップに苦戦しているのかもしれません。
ここで下手に声をかけることはその子の集中を途切れさせてしまい、せっかくたくさんの情報を取り込んでいたのに、頭が別の処理を始めてしまいます。
その状態で起こす行動は当たり前ですが、良くありません。
しかし残念ながらその結果、その子は「能力が低い」とレッテルを貼られてしまうのです。
そして本人も結果が出なかったことで、自信をなくしなかなか自分を出しづらくなってしまいます。
2つのことに集中するのは難しいこと
ここで分かってあげるべきは、新しい状況による強い刺激が目から耳から入ってきている中で、その場に応じた行動(プレー)をすることは非常に難しいということです。
その刺激の処理だけで精一杯の子供もいます。
スポーツをあまりやったことがない子であれば尚更です。
大人でも何かをしながら人と会話をしたり、2つのことを同時にこなしていくのは難しいことです。
最初のうちは様子を見てあげて、その子が何かを聞いてきたら答える。
こちらからも「試合どうだった?」と笑顔で聞いてあげる。
それくらいでちょうどよいでしょう。
何かを同時にこなすには、まずは意識的にしている行動を無意識下に落とし込むことが重要です。
一朝一夕ではいきませんので長い目で見守ってあげましょう。
いつもと違う場合は色々な問題が考えられる

次は、何かがあってプレーができていないといった状況です。
精神的な問題、身体的な問題、社会的な問題といろいろなことが原因として考えられます。
プレーを見て決めつける前にその背景に何か問題があるんじゃないかと考えてみましょう。
楽しくない
実はサッカーがやりたくないのにやらされてる、サッカーは好きだけど習い事としてやる雰囲気はあまり好きじゃない、など本人がそこまでサッカーをしたいと思っていない可能性があります。
もしサッカーに挑戦して、可能性を確かめられたのでしたら一旦離れてみるのも一つの手かもしれません。
最終的にその子の体を動かすのはその子ですからね。
少しでもサッカーに対して楽しいと思える瞬間を味わえていたらきっとまたやりたくなるはずです。
そんな子を何人も見てきました。
そしてそうして戻ってきた子はとても楽しそうにサッカーしますしね。
決して『辞める』とは言わず、『離れる』だけだという感覚でいましょう。スポーツは簡単にはなくなりません。
疲れている?
いくつものクラブやスクールなどを掛け持ちしていて休む暇がない。
クラブの活動頻度が多すぎて、遊びなども到底できない。
など、このような状況の子供は動きが重くなります。
ここで注意してほしいことは、一概に『疲れ』と言っても『身体的な疲れ』と『精神的な疲れ』の2種類あり、さらにこの『精神的な疲れ』にも面倒くさくなるようなものから、試合へのモチベーションが下がるようなものがあることです。
これに関しては別記事にて解説しています。よかったら見てみてください。

友達との間に何かあったのかも
外から見ている大人にはわからないことの中には、子供同士の関係性によるものもよくあります。
「前の方で歩いてるなぁ」と思っていたら、実は仲間に「前に残っていてくれ」と言われていたなんてこともあります。
それなのに大人が「ちゃんとみんなと一緒に戻って守備しないと!」などと言ってしまうとその子の頭の中で大混乱が起きてしまいます。
正反対のことを言われていますからね。
試合中に弁明するわけにも行かず、思ったようなプレーが一つもできなくなってしまうでしょう。
何かおかしいと思っても「もしかしたら友達との間で何か話をしたのかな」という視点を持ってみてください。
またこの他にも、選手間のいざこざなどで動けなくなっていることや、チームメイトや指導者に怒られて、既に何をしていいか分からず混乱していることもあるかもしれません。
色々な可能性を考えて、様子を見てみるのが最善の対応となるでしょう。
実は動きすぎが良くない場合も

パスを受ける
マーク厳しい中でパスを受けるのはとても難しいことです。
相手もパスの出し手を観察し、キックモーションに入ったタイミングでパスカットを狙いに来ます。
しかしだからといって不規則な動きを絶え間なく続けていても出し手は困ってしまいます。
不規則に動くキックターゲットですから、プロもお手上げです。
そこで大事なのが「ここ!」というタイミングでスッと動くことです。
それまでは歩いていても構いません。
これならマークしてくる相手も受け手に対してリアクションしかできなくなります。
全て動いて、全て受けに行けばよいというわけでもないのです。
ストライカー
その最たるものがストライカーと呼ばれる役割です。
決定的なとき以外は攻撃での存在感がなくても良いくらいです。
よく「しんだふり」なんて言いますが、点を取ってくれさえすれば究極それでもいいのです。
そしてあまりサイドに流れたりすることが好まれないこともあります。
攻撃時のペナルティエリア付近や守備時のセンターサークル付近にどしっと構えて決定的な仕事を求められている場合などがあるからです。
得点感覚に優れた選手が点の取れるところからいなくなることは相手にとってとても好都合だと言えるでしょう。
そのため嫌がらせの意味でも、点取り屋には動きすぎずいてほしいのです。
外から見た情報では判断できない情報がたくさんある

動かない選手に対する見方を理解したところで、そもそも親が子供を『動かす』ことに意味やメリットが有るのかという問題です。
外で見ている以上に中の子供は大変ですし、ピッチ内でのやり取りも盛んです。
また戦術的な面から見ても動かないことがすべて悪いわけではありません。
つまり外から見ただけの人が知り得る情報なんてものはたかが知れています。
我が子を混乱に陥れるだけで、成長につながるわけがありません。
イメージと数字が大きくずれていた遠藤保仁選手

最後に選手のイメージと実際の数値がかけ離れていた例を挙げ、見るだけでは分かりづらいんだということを理解してもらえたらと思います。
現ジュビロ磐田所属の遠藤保仁選手ですが、2010年の南アフリカワールドカップでチーム最長の走行距離を記録していました。
それまではあまり走らない、ハードワークしないイメージでしたがこのデータに沢山の人が驚きました。
その選手の雰囲気や、振る舞いにイメージが引きずられることで、実測値との間に差が出たのでしょう。
まとめ

子供のサッカーは常に発展途上で、色々な行動に成長するための要素が含まれています。
人間の成長過程は本当に上手くできているためあらゆることに意味があるのです。
もちろん親は何もしなくていいわけではありません。
親と子の本質的な関係性を意識すると良いでしょう。
あまり小手先のテクニックばかりに気を取られぬように、
子供の一挙手一投足、一つの小さな成長に全神経を集中させて寛容な心で見守っていきましょう。
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