サッカーを指導しているとたまに、まったくもって感情のわからない子供がいます。
しかし不思議なことにこのような子供達は総じて技術レベルが高いことが多いのです。
察するに、子供特有の衝動性や集中力のなさを無理やり大人にコントロールされてしまった事による弊害だと考えられます。
私はこのような『感情を押し殺してしまっている子供』は非常にもったいないと思っています。
感情を全面に出すことは必ずサッカーに対してプラスに働きます。
今回は最近読んだ一冊の本の内容を参考に、『感情がなぜ人間に備わっているのか?』という大きな問題から『サッカーにおいてなぜ感情が必要なのか?』につなげてお伝えできればと思います。
海外選手のような感情表現豊かな子供の育成が、今後日本の最重要課題になってくるのではないでしょうか。ぜひ最後まで読んでみてください。
なぜ人間には感情が備わっているのか

まずは参考図書をご紹介します。
この本自体は全くサッカーと関係のない本です。
まずは動物の進化について語られます。
より生き残れる遺伝子が残り、それにより進化する。
この本ではシロクマが例として取り上げられています。
簡単に説明しますので、どうか退屈がらずに読んでください。
アラスカのとても寒いエリアで暮らすことになった茶色い熊は雪の白さに紛れることが出来ず、唯一の餌であるアザラシに逃げられ飢餓状態となってしまいます。
そんな中、突然変異で生まれた白色の熊だけが雪に紛れ飢えを乗り越えることが出来ました。
その白いくまの遺伝子を引き継ぐ子も同じように生き延び、それが続くことで自然と茶色い熊はアラスカの地から淘汰されてしまいます。
このようにシロクマは熊がその土地に適応したのではなく、より生き残りやすい個体が子孫を残し、それが長い年月をかけて元の熊と違う特徴を作り出したと考えられるようです。
、、、ここまで聞くと、なんのことやらと思うかもしれませんが次から少しずつサッカーのお話をしていきます。
素早く動くための感情
前述したような変化はもちろん人間にも起きています。
人間が肥満になってしまうのも、スマホに依存してしまうのも、元来は生き残るためのものだったのです。
そして今回のメインテーマである『感情』もそれにあたるものだと本書には書かれています。
意識のある人間が何か決断を下す時に、情報が十分でない、または判断に時間がかかる場面があります。
これを即座に行動に移させてくれるものが『感情』なのです。
某タワーの透明な床に立った時、数百メートル下の景色を見て『怖い』と感じますよね。
それが感情が体を動かそうとしているということなのです。
実際には床があり、もっと言えば計算され尽くした設計で心配をする必要は無いはずなのですが、脳は概算を出し素早く危険から離れることを考えますから、例え床が抜けて落下してしまう可能性が0.01%に満たない数字でも感情を通して行動を促すのです。
このように『感情』は考える前に一つの答えを瞬時に出してくれます。
サッカーに大事な『感情』

前述のように感情は私たちの体を素早く動かそうとしてくれています。
「なんか怖い」「危険だ」と瞬時に行動を自らの身体に促すのです。
逆にこれをなくしてしまった子供というのは、危機的状況での動きが遅くなっていると言えるでしょう。
サッカーでも相手の気配を察知して「やばい!ボールを取られる!」と感じることこそが正しく早く動くためには重要なのです。
色々な感情を尊重する
考えながらプレーすることを求められるばかりに感情を押し殺してしまい、それ故にプレーが適切ではなくなってしまうというのは非常に皮肉な話です。
この『感情による機器回避』を機能させるためにはその他の感情もしっかり表現しなければなりません。
つまり感情的でなければいけないということです。
ゴールを喜ぶこと。
ミスして落ち込むこと。
時には怒れること。などなど、
これらすべてを表現することで自然と感情によって動けるようになるのです。
感情は『押し殺す』のではなく『飼いならす』

ここまでを聞いて生まれてくるのは「野蛮で秩序のない選手やチームばかりになるのではないか」という疑念ではないでしょうか。
これはその通りで、もちろん思ったままの感情を表現するだけではいけません。
時には感情を抑えることも大切だからです。
ここで大事なのはその感情を適切にコントロールできるすべを身につけること、つまりは『飼いならす』ことなのです。
これを子供に分かってもらうには少しコツが要ります。
例えば、感情的になって味方に強く言い過ぎてしまう子供にただ「味方に怒るな!」というだけではその子の中で『感情的になると怒られてしまう』というイメージだけが残ってしまいます。
これでは感情を表現してはくれません。
部分的には肯定しつつ、良くない部分を理解してもらわなければいけません。
そのためには、例えばですが
「お前の言っていることは正しいけど、味方に伝わらないともったいないよ。言い方を考えてごらん。」
とチームの為に適切でないことを伝えると良いでしょう。
感情的になるあまりに目的と行動がずれてしまっていることを気づかせることで「味方のミスですぐ怒るのは良くないな」と改めるはずです。
感情を出すこと自体は悪くないのですから、そこを執拗に問いただすことはしなくても良いでしょう。
心はエンジン、頭は操縦席

よく「心は熱く、頭は冷静に」と言われますが、心は車でいうエンジンのようなものです。
たくさん燃料を燃やしてこそ体は動きます。
頭はそれをコントロールするものです。
クーラーの効いた操縦席でいつでも体を適切にコントロールするイメージです。
心がなければ体は動きません。
しかし、頭が冷静でないと暴走してしまうでしょう。
そして頭で体を動かしてしまっている子はエンジンが助手席に置いてあるようなものです。
暑いし、うるさいし運転どころじゃありません。
まとめ

子供はいつでも感情的です。
衝動性が強いため、理性が未熟なためにコントロールできないのが当たり前なのです。
脳の理性的な部位が発達してくるのは15歳位からと言われています。
急がず焦らず子供が『子供らしく』あることを心がけるのが大事かと思います。
今回出てきた『判断』や『心』につきましても別の記事で書いておりますのでよろしければご一読願います。


最後まで読んでいただきありがとうございました。
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