ジュニア年代はチーム数が多く、それ故に競技人口も多いです。
その中でトレセンやセレクションなども度々あり、保護者だろうとなかなか気を抜けないのではないでしょうか。
ジュニア年代からその辺の選抜やらテストに一喜一憂しすぎることはあまりお勧めはしていませんが、今回はその年代での評価基準についてお話できればと思います。
言っても小学生ですから、その伸びしろは未知数ですしプロスカウトでも「まだわからない」というのが本音でしょう。
そのためこの年代は比較的早熟な子を集めてレベルアップを図ってもらう狙いがトレセンなどにはあります。
早熟な子はチーム内や地域内での”張り合い”がなくなることが多いですからね。
上手な子、そうでない子を全て含めた『底上げ』というわけです。
これを読んでいる方の中には
「もっと頑張って技術を身につけないとうちの子はだめになるんじゃ」とか
「うちの子は身体能力も低いしそこまでサッカーに打ち込ませなくても」
なんて思っている方もいるのではないでしょうか。
今回の評価基準を見れば、小学生年代には何が必要で、何を求められているか。
また親として子供に何ができるかが分かるかと思います。
ジュニア年代の評価基準とは

ジュニア年代の評価は以下のような感じです。
- スピード
- 親の身体能力
- 性格・人間性
- センス
- 技術
①が最も評価の際に見られやすいものになります。
そのため⑤の技術は必要だけどそこまでマストではないということになります。
評価①〜②:スピード、親の身体能力
最初から身も蓋もない話ですが、評価する人がその子の可能性として最も気にするのはその子の将来的なフィジカルレベルです。
サッカー選手もアスリートですからね。
その中でも裏切らないのがスピード。
子供の段階でもわかりやすいですし、その後も急に遅くなることはありません。
ただその辺の「速い」ではなく、より大きい枠組みで「誰よりも速い」を求められます。
ただし以下の評価基準で高レベルであれば「並以上」のフィジカルレベルでも事足りるでしょう。
評価③:性格・人間性
その次も将来的に質が担保される『性格・キャラクター』や『人間性』。
サッカーはどうしてもプレーの中にこれらの要素がにじみ出ます。
同じ技術や身体能力の中で差が出るのはこれ違いです。
これは単純に「良い人」を求めているというわけではなく、
『気の強い子』
『冷静な子』
『献身的な子』
『気性の荒い子』
などその子供ごとの個性を見て、サッカーやポジションに当てはめて必要な選手をピックアップするのです。
ただこの時、試合や闘いに向かない『気弱な子』や『おとなしい子』などは選ばれにくいのが現状です。
なんだかんだ言っても、競技としてのサッカーでは闘えることが大切になります。
評価④:センス
これは性格や技術と近いものがありますが、もっと『感覚的なもの』であるイメージです。
指導者として
「そこも見えてるんだ」
「そんなパスも出せるんだ」
と声を上げてしまうようなプレーをする選手がたまに現れます。
努力であらゆるものが解決できると信じていますが、明らかに努力で培ったとは思えないセンスを持っているのです。
スルーパスのスピードを感覚的に調整してゴールラインギリギリで味方が間に合うようにパスの出せる子もいました。
このようなことは教え込むとまた別のところに歪みが生じてしまうため、あまりメインテーマとして教えることはありません。
チームとして共通認識をもたせ「この位置からならこのくらいパススピード」
といった感じでタイミングや距離感を合わせることは可能ですが、それは技術を高めたに過ぎません。
この『センス』は言葉では表しづらいものがあるのです。
評価⑤:技術
最後が技術です。
とは言え「これまで鍛え上げてきた我が子の技術が評価基準の最後なんて…」と落胆しないでください。
あくまで育成年代での求められる要素でないだけで、これが大人のサッカーになると話は別です。
しっかり闘えるレベルになった時、その技術レベルは他要素と同等かそれ以上に必要なものという認識に変わります。
そのときにできている技術レベルの差は明らかな評価ポイントとなるからです。
しかしながら育成年代では単純に「早く始めただけ」の子もいますし、他の要素が飛び抜けた選手であれば技術レベルの差はまだ埋められるだけの年月が残っています。
それ故に重要視されないのです。
親が与えられるのは『人間性』

ここまで見てくると親のできることの少なさを分かっていただけたのではないでしょうか。
そしてこの中で後天的に親の影響が大きいのは人間性です。
性格も半分くらいは遺伝なんて説もありますから、それ以外のところでイメージしておいてください。
「素直である」
「謙虚である」
「自分に自信を持てている」
「献身的である」
「挑戦的である」
のようなサッカー選手として、というより一人の人間として優れた資質は
保護者さんの躾(しつけ)や接し方による部分が大きいように思います。
今挙げたものは小さい頃から寄り添ってきた親が与える事のできる、もしくは大切に守れる要素です。
「素直さ」や「好奇心」は元来子供に備わっています。
そして「謙虚さ」や「自信」、「献身性」は親の躾や接し方、振る舞いから学ぶ事が大きいはずです。
そこから考えていくことがサッカーとの良い関わり方かなと思います。

『技術』を”与え”過ぎると『センス』が失われる

そもそも技術は選手の頭の中にあるプレーを表現するための手段でしかありません。
つまり指導者としては「子供に何枚のカードを与えられるか」というのが技術指導になります。
しかし技術も突き詰めれば幅は広く、奥が深いものです。
そしてそれをすべて教え込むことは実質不可能です。
サッカーには数々のシチュエーションがあり、「似た場面」はあっても「そっくりそのまま同じ」なんてことはあり得ないからです。
もっと言うと指導者としては「いかに子供に気づかれないようにカードを渡すか」という勝負もあります。
それは子供の”判断の枠”がその子の技術の中に収まってしまうのを避けるためです。
例えば先程のように「カードを渡す」というイメージを子供が持っていたら、その子供の中で「サッカーとはどのカードを切るか」という勝負になってしまいます。
しかし本当であれば追い込まれた時に「実はポケットに見たことないカードが入ってた」なんてことも起こり得ます。
つまり教えていないことが試合で出たりすることもあるのです。
これを自然と先入観なく行わせるために教える側も『自然』でなければならないのです。
あくまで子供がプレーしているのは『サッカー』であり、
『ボールを蹴る技術対決』ではないことを覚えておきましょう。
子供は『サッカー』を教わっているのです。
親にもできる『センス』を高める環境づくり

最後に「うちの家は親2人共身長も高くないし、足も早くなかったし、子供のサッカーセンスもなさそうです。辞めるべきですか?」と思っている方がいたらいけないので
家庭でサッカーのセンスを高める方法をお伝えしておこうと思います。
「兄弟の末っ子が一番センスがある」なんてことがよく言われますが、それもそのはず。
下の子は上の子をみて覚えます。
周りの子よりサッカーの何たるかを先に心得ているのです。
これなら各家庭でできます。
「兄弟を作れ!」なんて言いません。
家族でサッカーを楽しむ環境を作ってやるのです。
スタジアムに試合を見に行く。
家で少し豪華な食事を準備して、特別感を出して日本代表戦を応援する。
このようなかたちで子供がサッカーを自然と見る環境を整えていけば間違えなくその子のセンスは磨かれていくはずです。
ポイントですが、間違っても「試合を見なさい!」とか「なにか真似できることを探しなさい」とかそういうことは言わないでください。
楽しい雰囲気が台無しです。
子供の「その場にいるのが楽しい」と思う心が「サッカー楽しい」に変わり、その気持ちが子供の目をサッカーに向けてくれます。
別にずっと座っていなくても、歓声に合わせて観るだけでも全然問題ありません。
いつか夢中になって観るまで気長に楽しみましょう。

まとめ

今回の評価基準5項目を見ていただければサッカー界の厳しい現実が見られるかと思います。
しかしながら今回考えてほしいのはそこではなく、
『全てはサッカーを楽しむことに集約されている』
ということです。
身体能力を限りなく上限まで発揮させることはできますが、子供は急に足が早くなったり、親より30センチ高くなったりしません。
身長に関して言えば90%遺伝です。

そして人間性はサッカーがなくとも大事なこと。
サッカーのセンスは家庭内のサッカー文化を築くことで高まりますし、技術も教え込むより楽しくプレーする中で『サッカー』を学んでいくほうが効率的です。
日本がこのまま発展を続け、サッカー大国になればネイマールやメッシ、エンバペのようなスター選手が生まれるはずです。
そうなる一歩目はまずぞれぞれの家庭から。
サッカーを楽しんでいきましょう。
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