教育・子育て

U-12トレセンを親が気にしすぎてはいけない理由

よく小学生の保護者に「トレセンに入るにはどうしたら良いですか?」や、逆に「なんでうちの子は選ばれなかったんですか?」と聞かれます。

指導者からすると「なんでそんなに選ばれたいのですか?」と思ってしまいます。

もちろん選ばれた子供は、嬉しいです。

たくさん喜んで、自慢して、楽しめば良いと思います。

それが自身になりプライド・自尊心につながるからです。

しかし親がそのような質問をしてしまうほどトレセンに固執してしまうのは感心しかねます。

トレセンの目的、子供の発達、サッカー選手の傾向、などをしっかり理解して方向性を間違えてしまわないように、また子供が落ち込んだ時に励ましてあげられるような存在を目指しましょう。

JFAの文書

日本サッカー協会の公表している、ナショナルトレセンU-12の目的は以下のようになっています。

日本サッカーの強化・発展のため、

 ① 優秀な選手の発掘・育成

 ② 選手・指導者のレベルアップ

 ③ 選手・指導者の交流

 ④ トレセン(トレーニングセンター)制度の充実・発展

を図ることとする。

日本サッカー協会ホームページより(https://www.jfa.jp/youth_development/national_tracen/u12.html)

とあります。

そして発足当初の目的を

「日本サッカーの強化、発展のため、将来日本代表選手となる優秀な素材を発掘し、良い環境、良い指導を与えること」

日本サッカー協会ホームページより(http://www.jfa.jp/youth_development/national_tracen/)

としています。

また、ホームページ内ではトレセンの目的は個の育成でありチーム強化ではないとも謳っています。

U-12年代の特徴

まずはU-12年代での子供の特徴を理解しましょう。

一体どのような、状態にありどのようなものが求められているのか。

逆にどのような能力が必要ないと思われているのか。

ここを知ることがこの年代を考える上での入り口になります。

発達の差

小学生の試合などを観戦されたことのある人は分かると思いますが、まず1つに発育度合いに差があります。

小学6年生の試合くらいになると、大人と子供が競り合っているんじゃないかと思ってしまうほど体格に差ができることがよくあります。

こればかりは、生まれ月や親の遺伝などあるためどうしようもありません。

ですがこのようなアンフェアが普通に起きてしまうのがU-12年代の一番の特徴であり、親が忘れてはいけない要素の一つなのです。

技術的な優位性の大きさ

そして2つ目に、技術の差です。

「技術は小学生でも関係なくない?」と思ってしまった方もおられるでしょう。

しかし、考えてみてください。

サッカーを6歳から始めた子と8歳から始めた子で比べると、その子の人生においてサッカーをしていない年数は、6歳/12年=1/2(半分)と、8歳/12年=3/4となります。

つまり前者は既に人生の半分をサッカーに費やしている一方で、後者は人生の1/4しかサッカーに費やせていません。

これが20歳になると、6/20と8/20で差は縮まります。

これで分かる通り、この時点での技術の差というものはあくまでも年齢が低いゆえに大きいアドバンテージとして成立しているに過ぎないのです。

必ず誰しもが上手になりますし、技術はあくまでもサッカーの要素の一つに過ぎません。

U-12で優れているがゆえに伸びない才能

この年代で他の子供と一線を画す子に備わっている特徴として

体格・技術・スピードがあります。

しかしこれらの長所を早くから手に入れている子は伸び悩むことがよくあります。

自分の能力に頼りすぎて、見ることや考えることなどをないがしろにしてしまうからです。

特徴のある選手を潰さないためのトレセン制度

そんな身体的・技術的な特徴を持つ子どもたちが潰れないためにトレセンがあります。

身体能力の高い、また技術的に高い選手の中に入れば自分の能力は普通になりますから今までのように上手くいきません。

自チームの中では特別だったものが使えないとなった時に、今までに感じたことのない刺激を受けるはずです。

これこそがJFAの考える個の育成だと私は解釈しています。

不確定な成長を考える

これはなにもJFAが上記のような特徴のある選手しか必要としていないわけではありません。

体格・技術・スピードが小学生離れしている子は読んで字のごとく少数派です。

地域だけでプレーする場合、なかなか張り合える仲間に出会えないものです。

そんな子供を地域から、または全国から選抜して集めることで、成長が止まりかねない個を伸ばすことができるのです。

しかし、言っても小学生なのでこの時点で選ばれた子がその後もずっと選ばれるとは限りません。

いずれ体格もスピードも技術もある程度は同じレベルになり、それ以外の能力もかなり必要とされてきますし、成長期を過ぎたあとでも飛び抜けた特徴で有り続けられる選手はほんのごく僅かだからです。

技術は自信をつけるための特効薬に過ぎない

技術はプレーした年数(時間)が深く関わってきます。

これは年数が浅ければ浅いほど顕著になります。

始めたばかりの子は、やればやるほど上手になるから楽しいですが、その成長曲線は年数を重ねるごとになだらかになります。

そしていずれあとから始めた子と差がなくなり、その子の経験・人間性・環境によっては追い越されることだってあるはずです。

しかし、幼い頃に技術を身につけることが無駄なわけではありません。

体格的なアドバンテージがない子供にとっては、一つのアドバンテージになりそれがチームの中で特出したものであればあるほど必要とされる存在になり、それが自信に繋がります。

自信を取るか別の優位性を取るか

ここまで聞くと

「早いうちに技術を身に着けて自信をもたせることが1番大切だ!」

と考えてしまいそうなものですが、私はそうは思いません。

なぜならこの自信を得るためには、幼い頃からたくさんの時間をサッカーに注ぎ込む必要があるからです。

その時間は他の子が別の経験をしている時間です。

友達との遊びの中で培われる社会性。

親とのレジャーなどを通して得られる、自己肯定感や社会経験。

他の競技に取り組んで得られる、楽しさ、運動能力、インスピレーション。

この他にもたくさんの経験を得ている子どもたちがおり、そこで得られる知見や人間性、視野の広さは例えサッカーから離れざるを得ない状況になっても生きてきますし、もちろんサッカーにおいても長い目で見ればアドバンテージになり得ます。

自信を補って余りある自己肯定感

ここでおすすめしたいのは、サッカーに打ち込む時間を少し削って、家族での時間にしてみてはどうでしょう?という提案です。

たとえ技術による自信がつかなくても

「サッカーができなくても自分の居場所がちゃんとある」という安心があれば、目的や本質を見失いません。

サッカーが楽しくないのなら一度離れればいいでしょうし、チームを変えても良いでしょう。

この余裕がクリエイティブなプレーや、思い切ったプレーに繋がり、結果として自身を持った選手と同じ状態になります。

今しかできないことに注力する

もっと言えば自信はいずれ付きます。

しかし、U-15に近づくにつれて生活の中でサッカーに注ぎ込む時間が増えていきます。

また思春期になると親から離れるための精神的な変化が表れるため、一緒に行動することが難しかったり、効果を十分に得られなかったりします。

こどもが親と一緒に行動したがるのには、発達上の理由がありそれを素直に受け止めてあげることが親としての正しいあり方ではないでしょうか。

子供が一緒に行動してくれる時期に思い切り子供と遊んで、楽しんで、サッカーだけでなく思い出・子育ての面でも後悔のないようにしましょう。

意外とサッカーから子供を引き離すことで、その後のプレーも良くなったりします。

まとめ

U-12年代において過剰にトレセンを気にすることはありません。

そもそもトレセンの目的に沿っていない子は選ばれませんし、選ばれたからと言って将来が確証されているわけでもありません。

子供の成長や可能性などを常に考えながら寄り添って考えてあげることがこの年代には必要だと考えています。

子供は気にしますが大人はどしっと構えて、将来を見据えてやりましょう!

親が子どもに与えるべき優位性 同じクラブのエースの子が受けている厳しいサッカー教育を見て、 「我が子も同じようにしなければ!」と考えたりしていませんか? ...
成長の遅い子が持つべきメンタリティ 子供のうちは成長に個人差が大きく、4~6月生まれや、早熟な子が有利とされています。 これはフィジカル面の優位性だけでなく、自信や...
成長期は遅い方が良い⁉身長を伸ばすために必要なこと 身長で悩んでおられる方、たくさんおられると思います。 サッカーに身長は大きく関わらないとは言いつつもあって損はしない能力の1つだ...

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

ランキングに参加しています!クリックして応援よろしくおねがいします!

にほんブログ村 サッカーブログ 少年サッカーへ
にほんブログ村
\ Follow me /