技術・考え方

ビルドアップを考える前に知っておきたいこと

昨今サッカーの分析が進み、配置や仕組みによって敵のプレッシャーをかわす手法が広く知られるようになってきました。

しかしそれは良いことだけではありません。

言語化に次ぐ言語化を経てできた最終的な概念が実のところ何の中身もない、机上の空論だったなんてことも少なくありません。

実戦経験のない指導者もしくはインフルエンサーが経験を積むに連れて、「球際」や「気持ち・迫力」を重要視するようになっていくのを見たことがある人も多いのではないでしょうか。

それはあまりに抽象化しすぎた考えを持ちすぎていたためかと思われます。

ようは「こうなるからこうする」のような情報が末端に行けば行くほど「こうする」だけの抽象化されすぎた情報になるのです。

元々はもっと複雑な前提条件や決まり事等があるにも関わらず、河を転がる石の如く角を取られ、小さくまとまった小石のような内容だけが世間一般に伝わっているのです。

とは言っても、この記事内に「ビルドアップの何たるか」を書き込むわけではありません。

そもそも私は配置や仕組みなどを語りすぎるはあまり好きではありません。

育成畑の人間であるためか、頭でっかちになったサッカーは面白く感じないのです。

そこで今回はそんなビルドアップを考える上で忘れがちな当たり前の前提条件をお話できればと思います。

至極当然の話をするだけですが、サッカーに対する様々な見方を知って考え方を深めるのには良いはずです。

今一度原点に立ち返って、視点を作戦ボードからピッチに移しましょう。

ビルドアップは数的有利が大前提

最も大きな大前提として数的有利であることはとても重要です。

しかしながらこれは考えずとも自然に起こる現象であるが故に、前提として語られることはほとんどありません。

なぜなら守備側チームが最もやられたくないのはゴールキーパーの前、つまりセンターバックの位置です。

そこを抜かれた瞬間キーパーは「いかにシュートの成功率を下げられるか」を考えさせられます。

それほど致命的なのです。

そのため最終ラインは数的有利で守りたくなるものです。

相手のフォワードが1人ならセンターバックは2人。

2人なら、3人。

3人なら4人、のような感じです。

ですが、出場できる人数は決まっていますから、必然的に前線は数的不利で追い回すことになるのです。

”相手に合わせる”の限界。自分たちも仕掛ける姿勢が必要

ここで一つの例を上げて考えてみましょう。

自分たちは4バックです。

しかし後半から相手が4バック全てにアタッカーを当ててきました。

守備時にはマンツーマンでの対応になるし、攻撃時はビルドアップをかなり制限されてしまいます。

ここで取るべきは手段は何でしょう。

5バックにして再び数的有利を作ることでしょうか。

それも一つの正解です。

しかし、例えばですがスコアが1対1の同点で、何としても1点取って勝たなければならない状況ではどうでしょうか。

このとき相手は「前線を数的同数にする」というリスクを取っています。

先程もお話した通り、後ろの数的有利のためには前線での数的不利が必要だからです。

つまりこちらもファイティングポーズを見せるとすれば答えは一つ。

ロングボールでもなんでもありで、相手のディフェンスラインに強襲を仕掛けることで相手は自らの冒すリスクについて再考する必要が出てくるのです。

もしすでに腹をくくっていて、考えなかったとしてもピッチ上でプレーする選手達には迷いが生まれるかもしれません。

これが駆け引きです。

サッカーを「自分たちが相手に合わせて考えるもの」だと認識していると戦術の幅は限りなく狭くなってしまいます。

いかに相手のされたくないことをするか、が大事なのです。

たしかに5バックになれば守備は安定するかもしれませんが、攻撃に移る時の腰の重さがネックになります。

また例えばですが相手が1トップから2トップに変更してくるような時、2センターバックから3センターバックに変えることも一つの手ですが、こちらが対応した途端フォワードが縦関係になり、両翼が飛び出してくることも考えられます。

考えれば考えるほど策は付きませんし、これもまた机上の空論です。

つまり”相手に合わせる”だけでは限界があるのです。

まとめ:戦術の前に『数の原理』と『攻守における裏表』

数的有利・不利の話はただの数遊びです。

もちろん小学生高学年にもなればある程度は理解できます。(そこまで見れるかどうかは別ですが…)

戦術についての情報が錯綜することで最も懸念されるのは子どもたちが考えなくなることです。

「監督・コーチがこうするべきだったのではないか」

「なんで監督は何も教えてくれないんだ」

戦術のもっと前にあるのが基本的な『数の原理』と『攻守における裏表』です。

子どもたちはそこを試合を通して学びながら、「自走できる選手」にならなくてはなりません。

試合中には大小様々な問題がピッチ上で起こり、それらの相乗効果で失点や敗戦につながるからです。

周りの大人はそこをはき違えないように気をつけるべきでしょう。

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