教育・子育て

日本人が自己効力感を高められないただ一つの理由

前に自己効力感の高め方について書きましたが、今回はその自己効力感が日本人の中で育たない現状についてお伝えできればと思います。

「自分ならできる‼」と思える力、『自己効力感』を身につける‼ 物事にモチベーションが生まれるとき、人は『実現可能性』を考えると言います。 これは「これくらいなら実現することができるかもしれな...

みなさんも

「海外の若手の選手は急に変わる」

「海外の選手は調子に乗ってからがすごい伸びる」

などと聞いたことはないでしょうか。

海外サッカーをよく見る方であれば何人か選手名も思い浮かぶはずです。

しかし日本人でこのような選手はあまり見ません。

なぜなのでしょうか。

成長を妨げる『謙虚の美学』

これまた以前の記事ですが成長する選手の共通点として謙虚さが大事だという記事を書きました。

上達の種、「謙虚さ」を身に付ける重要性 ジュニア年代で活躍できていない我が子に対して、必要以上に結果を求めていませんか? 「こうすればあの子みたいに上手くなれるぞ!」や...

記事内でも書いていますが成長には謙虚さと自信の両方が大切です。

しかしながら日本的な感覚で言うと謙虚さを少し推しすぎる傾向があるのかと思います。

「慎ましく」

「何事にも動じず」

「自分を律して」

いかにも日本の武士道って感じですよね。

もちろんこの精神の中に日本独特の強さがあり大切にしなければならないことも確かです。

ただこの『謙虚の美学』が強すぎるがゆえに失われているものがあることを知っていて欲しいのです。

調べてみると「慎ましい」の対義語は「厚かましい・図々しい」となるようです。

これを良く言い換えれば「主張できる」とも言えるでしょう。

いかにも日本人が苦手そうですね。

自信・自己効力感を持てない考え方とは

そしてその謙虚すぎる姿勢の中に日本人が自信を持てない理由があります。

自信とは「これを達成することができる!」という感情ですから、自己効力感とも言えます。

その自己効力感を最も伸ばしてくれるのは前にもお伝えした『直接的達成経験』。

つまり実体験です。

「できた!」という体験こそが人に次の「これもできるかもれない!」という感覚をもたらすのです。

しかしこの実体験を通しても自己効力感が上がらない場合があります。

それは成果に対して「できた!」と本人が思えていないときです。

よくプロスポーツ選手が、

「この得点はみんなのおかげです」とか

「自分ひとりの力ではなく、チームで勝ち取った勝利です」などと言いますが、

これでは自己効力感は高まりません。

これを答えた選手がどのくらい本気で言っているかはわかりません。

しかし、日本の中ではこれこそ100点満点の答えとなります。

「自分の力を100%発揮することができた」と、自分の活躍を素直に認めてやることで次の自信に繋がるのです。

成果を分け合う文化

このような個人の得点という成果を「みんなのおかげ」と分け合う文化は少年スポーツの世界でもよく見られます。

得点した子に対して、

「今のゴールはごっつぁんゴールだな!」とか

「みんなが繋いでくれたことに感謝しないとな!」

という声を聞いたことはありませんか?

もしくは心のなかでそう思っている人はいませんか?

これもチームの和を重んじる素晴らしい日本の文化ですが違う見方もできます。

日本人選手がよく「海外では数字が求められる」と言いますが、

これは単純に「日本では成果を分け合っている」だけだとも考えられます。

古くから農耕民族として作物を分け合ってきた名残りでしょうか。

1を取り合うのではなく、2を探す

例えば敵陣でゴールキーパーに対して2対1の数的有利を作れたとします。

もちろんボールホルダーはキーパーを引き付けて横パス。

それを受けた選手が難なく流し込んで得点します。

これに対して先程のような声がかかるわけですが、その背後には

「『得点』という成果を味方に渡した子も評価されないと報われない」

という優しい気持ちがあるかと思います。

それが故に『1つの得点』を『みんなの得点』と評価し、得点者も「自分ひとりの得点じゃない」と考えてしまいます。

しかしこうは考えられないでしょうか。

「得点した選手は素晴らしい。その前のパスも良かった」と。

つまり『1つの得点』を分割するのではなく、『1つの得点』と『1つのパス』2つを正当に評価するのです。

そうすればサッカーは今の2倍楽しくなります。

謙虚さだけでは緩やかな成長曲線しか描けない

しかし自信満々になったとしても、現状ではなかなかどうしてよく見られません。

よく少年スポーツで

何もかもが上手くいっている子が、チームにそぐわないことをして、

「調子に乗るんじゃない!」

「上手くなった気になるなよ!」

と言われているのをたまに見かけます。

高すぎる自己評価は『指導』の対象になってしまうのです。

もちろんこれも指導者の愛の表れで「どうにか成長し続けて欲しい」と思っているが故です。

しかしこれが正しいのかは誰もわかりません。

調子に乗った選手がどこかでどん底を経験したとしても、その後バネが反発するように大きく伸びるかもしれませんし、

反対に謙虚さを貫いた選手が緩やかな右肩上がりの成長曲線しか描けず、第一線から退くようなことも考えられます。

謙虚さは日進月歩で向上できる良さはありますが、爆発力には欠けます。

そのため『規格外の選手』とはおそらく前者です。

もしかするとそもそも身につける順番が『自信』→『謙虚さ』なのかもしれませんね。

親としてできることとは?

とは言え、調子に乗っている子供がみんな成功できるかと言えばそうでもありません。

場合によっては落ち目を叩かれてひどく傷ついてしまうかもしれません。

そのくらい自信満々な人に対するアレルギーがあるのが日本です。

これまで長いこと指導してきた指導者や教師の方などは、今回のようなことを理解していてもなかなか受け入れられない人も多いはずです。

そのため大事なのは親が子供と話して、『見過ごしている実体験』を認識させてあげることかと思います。

子供は日々進化しています。

ついこの間まで出来ていなかったことも気づけば何気ない顔でスムーズにこなしていたりしますよね。

そんな時に「ちょっと前までは出来なかったのにすごいね〜」と成長を気づかせてあげましょう。

これも達成の実体験になります。

少し片付けができた

小さな予定を立てて動けた

友達に気遣いをできた

何でも良いです。

子供のちょっとした言葉の端々にも成長は見られますので見逃さないように意識していきましょう!

まとめ

日本の文化には悪い側面もありますが、それは世界的に見ると特徴や長所になり得ます。

しかしそうは言っても、子供が自信を持てていないのは問題です。

日本人としての良さを残しながら、子供らしい自信を身につけるための接し方を考えなくてはなりません。

そして何よりも我々大人が『自信』に対するアレルギーを抑えていけたら、子供の生きる未来は少しずつ変わっていくはずです。

決して子供の『自信』を『勘違い』などと言わぬよう心がけていきましょう。

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