技術・考え方

未就学児はサッカーにどう関わるべきなのか

ジュニア年代の指導は日々レベルアップしており、その上のカテゴリーともなればよりレベルの高い指導者がごろごろいるような昨今です。

そんな中で我が子が小学生になるまで、もしくは近くのクラブでサッカーを始められる前になんとかアドバンテージを作っておきたいと考える保護者の方も多いのではないでしょうか。

今回はそんな未就学児のサッカーに対する関わり方を、色々な角度からお伝えできればと思います。

未就学のうちからサッカーを始めるメリット

小さいうちからある程度サッカーに関わっておくと、良い点がたくさんあります。

まず他の子より「知っている」「上手にできる」というのがその子の自信に繋がり、プライドとなるからです。

自分のプライドを持った得意分野であれば「絶対負けたくない」と思うのは自然な流れかと思います。

次に技術・能力が身につきやすいということも言えるかと思います。

上手くなる速度は人それぞれですが、なんと言ってもかけた時間が物を言う年代です。

やっただけ上手くなりますし、蹴る動作や動くボールに合わせる動作というのはサッカーの独特なものです。

普段の遊びの中では培われにくい動作だけに経験のあるないは大きな差に繋がります。

未就学児とサッカーの在り方

私もよく未就学児のサッカー教室など行うことがありますが、試合形式なんて成立しないこともしばしばです。

当たり前ですが全員が全員サッカー選手になりたいわけではありませんから、どっちゴールに入れるべきかも曖昧なまま、ただただボールを蹴っているだけの子供のほうが大多数です。

サッカーを長年やっている大人には不思議かもしれませんが、小さな子供はそれだけで楽しいのです。

ただゴールの前に線を引いて「ここからボールを蹴ってね」というだけでも本当に楽しそうにやってくれます。

これが実は子供とサッカーとの関わり方の中でとても大事になってきます。

「楽しい」がすべてを解決する

小学生の保護者さんの悩みでよく聞くのが

「うちの子は全然練習しないんです」

「試合に出ても一生懸命走らなくて、、、、」

「どうすればうまくなりますか?」

などです。

これ以外にもたくさんのお話を聞きますが、そのほとんどがサッカーを楽しめる環境にないことにあります。

『サッカー=楽しい』の公式を幼いときから作れていれば自ずとボールを蹴り出すことも増えるはずです。

『楽しい』はイメージ!?

皆さん好きな食べ物を思い浮かべてください。

好きな食べ物はそれを食べたときの楽しい記憶の影響を受けるそうです。

「特別な日には家族で決まって〇〇を食べていた」とか

「小学生の時にみんなで作って食べた〇〇が今でも好き」とか

「カフェに行くといつも頼むから、これを食べているときは優雅な気分になれる」のようなものです。

皆さんが思い浮かべたものの中にも何か楽しい記憶があるんじゃないでしょうか。

これと同じで、サッカーを楽しいと思うためには子供の頭の中で『サッカー』と『楽しい』が繋がらなければなりません。

逆を言えば、別に「サッカーのこれが楽しい」と具体的にならなくても良いのです。

「サッカーに行った帰りの車内がなんか楽しい」や

「サッカーが始まる前に友達と話したりしているのがなんとなく楽しい」

のようなふわっとした感じで良いのです。

これが積み重なることで次第に『サッカー=楽しい』が繋がってくるのです。

低学年までは『試合』は『練習』にはならない

ここで少し話を戻して「小さい子は試合にならない」について補足しておきたいと思います。

私は常々「試合こそが最高の練習である」というふうに言ってきましたが、まだサッカーを始めて間もない小学校低学年や未就学児であれば話が少し変わってきます。

その中で試合をした時に上手くなるのはその中で一番上手な子だけです。

なぜならまだ上手くボールを扱えない子供は対戦相手のプレッシャーに焦ってしまうばかりで、来たボールをただ蹴り返すだけになってしまうからです。

『クローズドスキル』と『オープンスキル』

ここで大事なのは『クローズドスキル』という考え方です。

『クローズドスキル』とは簡単に言うと相手がいない状態で発揮されるスキルを言います。

この反対を『オープンスキル』といい、試合のように相手がいる状態でのスキルを指します。

小さい子供のサッカーを向上させようと考えた時、トレーニングするのはほとんどが『クローズドスキル』のトレーニングとなります。

理由は前述したように未熟故にそもそもスキルが発揮できないからです。

試合に出てくるようなスキルを焦らず、ゆっくりなスピードでも良いので体験してみる。

これがこの年代での技術の習得になります。

試合がダメなわけでじゃない

ここまで聞いて勘違いしてほしくないのが、

「試合はするべきではない」と考えるのは間違えだということです。

試合の中で得られる『スピード感』『自由度』『勝敗』。

これらが子どもたちにとって一番楽しいことになり得るからです。

もちろん「試合はいや」と言う子もいます。

しかし誰にも指図されない、試合が好きな子も一定数いるはずなのでそこも考えてあげるのが大切です。

常に「サッカーの主役は子どもたち」だということを忘れずに接してあげてください。

何から始める!?サッカーの導入について

ここからはようやく子供にサッカーに早くから関わって欲しいと思っている親が用意すべき『遊び』について、いくつかお伝えできればと思います。

ただただボールを蹴る

当たり前ですが「サッカーがしたい!!」となっている子供がしたいのはこれです。

「サッカーを上達するための〇〇トレーニング!!」みたいなものは欲していませんし、サッカーに紐付いてそんな意味もわからないようなものが出てきたら、それこそサッカーを嫌いになりかねません。

まずは本人のやりたい『サッカー』を優先させましょう。

その延長線上に『ドリブル』や『パス』『ターン』などが出てくるのです。

ちなみに私が未就学児を見る時は顔色をうかがいながら段階的にシュート練習に色々な要素を組み込んでいきます。

  1. ボールを決められた位置からゴールもしくは標的物に狙って蹴る
  2. ゴール正面の離れたところ(10mくらい)からコーチがゴール方向にボールを転がしてやり、それを子供が追いかけてゴールに蹴り込む
  3. ↑②をゴール方向ではない方向に転がしてやり、それを持ち直してからシュートさせる
  4. 少しづつ距離を離していき、ドリブルで近づかないと打てないようにする
  5. ゴール横に子供とボールを集め、そこからボールを転がしてやる。ターンしてドリブルで戻ってこないとシュートが打てない

これは一例ですが、このようなプロセスを経てシュートとドリブル、シュートとターンなどの技術と技術が繋がっていき『使える技術』となります。

この過程を踏むためにも最初は楽しく『ただボールを楽しく蹴る』が重要なのです。

風船と新聞ボール

これは家の中でサッカーをするのにおすすめです。

風船は動きがとてもゆっくりなので、幼い子どもの動体視力にはちょうどよいです。

3歳位の子供であれば、投げてあげた風船に合わせて蹴ることができる子もいるはずです。

これもタイミングを合わせる練習になります。

また、『新聞ボール』というのは新聞紙で簡単に作れるボールのことです。

クシャクシャに新聞紙1枚を丸めて、それをもう一枚で柔らかく包み、ガムテープで十字に止めます。

これも普通のボールに比べて落下するスピードが遅いので子供にとっては見えやすくなるはずですし、作るのも楽しいです。

蹴るという動作はとても特殊なため、「ボールの下を蹴ると上に上がる」のようなあたり前のことでも難しかったりします。

子供の頭の中では常に「真上に蹴ろうと思ったのに違う方向に行っちゃった」みたいな事がフィードバックされ、それを適切に処理できるように徐々に感覚が研ぎ澄まされていくのです。

結局基本はよく遊ぶこと

ここまでなんやかんやお伝えしましたが、子供の仕事はなんと言っても遊ぶことです。

この基本なくしてサッカーはできません。

普段からサッカーだけと言わず、たくさんのスポーツやごっこ遊びを通して色々な能力が身につきます。

それを身に着けさせようと思った時に、『遊び』ほど楽しく、たくさんの能力を鍛えられる方法は他にないのです。

大人が主導の『技術練習』をしていませんか?

よくあるのが小さいときから親が付きっきりでコーンドリブルやリフティング、ボールタッチの練習をさせているような状況です。

それらは大抵つまらない反復練習から始まるものですし、子供の大好きなダイナミックなプレーとは全く違うため私はあまり好きではありません。

子供が最初から楽しくやっているかと言われると疑問符がつくはずです。

先程も言ったとおりそれらは『楽しくボールを蹴る』の先にあるものなので、必要がない時点からサーカスのように技を仕込まれてもその意味などわからないはずです。

またそれらが通用しだす年代になったとしても結局それらは長持ちしませんし、長持ちさせようとした時にまた『親による矯正』が必要になります。

『矯正された養殖』では『天然』に勝てません。

最初から矯正してしまうと、そのような負のスパイラルに巻き込まれかねません。

自然な流れで技術を身に着けていくことで、判断と技術がマッチして『試合で使えるスキル』となるのです。

まとめ

ここまで色々な角度から『未就学児のサッカー』について考えましたが、結論

大人は『子供が楽しんでいるか』を常に観察しながら、時には違う遊びもたくさんしてサッカーが遊びの一部になるように考える。

というのが良いのではないかと思います。

また技術を身に着けさせるには、大人のさせたいことをやらせるだけでは逆効果で、自然な流れで技術が出てくるように工夫していく必要があるということです。

これはとても難しいことなので焦らず学んでいきましょう。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

ランキングに参加しています!クリックして応援よろしくお願いします!

にほんブログ村 サッカーブログ 少年サッカーへ
にほんブログ村
\ Follow me /