技術・考え方

少年サッカーの練習メニュー『1対1』は必要か

現代のサッカーはよりフィジカルや”個”に対してフォーカスされるようになり、球際や1対1の場面で闘える選手、打開できる選手が求められています。

そんなサッカーのトレンドに合わせ以前より重要視されてきているのが『1対1』の練習。

ボールを持った攻撃側が守備者に奪われないようにゴールを狙うという非常にシンプルなものです。

”個”の力に定評のあるプロサッカー選手たちが「友達とずっと1対1やってました」という話も世間に広まり、より『1対1』のトレーニングに力を入れる選手・保護者が増えています。

しかしサッカーのトレンドなんてものは移りゆくものです。

数年後には「正しくない」なんて言われかねません。

そこで少し引いた眼で、指導者的な観点も持ちながら、本当に『1対1』の練習が良いのか?

また『1対1』をする上で考えるべきポイントは?注意点は?

そのようなことをお伝えできればと思います。

トレーニングの「メニュー」ばかりに気を取られて、その目的やアプローチを忘れてしまうのは指導者としては最悪です。

保護者の皆さんは『最悪の指導者』ではなく『良いサポーター』になれるように考えていきましょう。

『1対1』は少し扱いにくい練習メニュー。目的を持ってアレンジするのが◎

まずはいち指導者目線でこの練習についての感覚をお伝えできればと思います。

個人的にはいわゆる普通の『1対1』の練習は試合の状況と全く違う状況が出来上がってしまうため、扱いにくい印象があります。

もしやるとすればかなりピンポイントな「目的」があり、それに合わせたアレンジやオーガナイズ(場の設定)を行う必要があります。

つまりそんなに『使える・便利な練習メニュー』ではありません。

しかし技術は高まる。フィニッシュワークのイメージ作りも

ただ、サッカーをプレーしている訳ですから有効な面ももちろんあります。

まず『1対1』なので単純に6人や8人の練習に比べて、ボールに触る回数が多くなります。

「ボールに関わる」という観点で見ると100%関わっていることになりますよね。

これにより、ただスペースを埋めるだけのディフェンス練習やただサポートで後ろに立つオフェンス練習よりも間違いなく技術力は向上するはずです。

またゴール前の攻防を終始繰り返すことができるので、シュートへ持ち込むためのフィニッシュワークを磨くこともできるでしょう。

そしてこれはディフェンス側も然り。

最後の最後でゴールを守る術を身につけられるはずです。

駆け引き、時間などの意識が薄くなる?

上記のようなプラスがあるにせよ、やはりよくない面も少なからずあります。

まずよく言われるのが味方選手がいないためそこで起きる現象が実際の試合と違うものになりすぎるという点です。

そもそも構えた相手に対して1対1を突破できる必要があるのかという疑問にもぶち当たります。

味方にパスしてワンツーを受けてもいいし、味方を囮にしてのドリブルもあるはずです。

つまりいかにして相手が構える前を狙えるか、構えさせないかという『駆け引き』が重要なのです。

そうやって考えてみると1対1を突破できるというのはかなり特殊な能力なことに気づきます。

それ故に三笘選手やネイマール選手などは重宝され、話題にも上がるのでしょう。

そしてもう一つの『1対1』マイナス要素としては、「時間」に関しての自然な制約がつきにくい事が挙げられます。

つまりいつまでもだらだらとプレーできるのです。

本当の試合であれば攻撃に時間をかけると相手が陣形を整え、更には誘導され追い込まれていくのが常です。

しかし『1対1』の練習ではそうはなりません。

とりあえず横に運び、習ったフェイントを使い、上手くいかず逃げて体勢を整える、のような状況になっていはいませんか?

これらはルールづくり次第ではなんとかなることもありますが、複雑になりすぎたり子供が無邪気に楽しめなくなる可能性もあります。

それでは本末転倒でしょう。

『1対1』どうアレンジする?

指導者が練習を決めるときにはその練習の目的をはっきりさせます。

練習メニューありきで決まることはありません。

この1対1も同じで、目的に応じたアレンジが必要になります。

ゴールの設定(ゴール、ラインゴール、コーン当て、ターゲットにパス)

範囲、コート上での位置

選手のスタート位置

ボールの配給

キーパーの有無

味方選手の有無

フリーマン

時間制限

これらを少しずつ変えていけば、様々な用途に応じて練習の内容を変えることが出来ます。

練習①:ペナルティーエリア角付近から、中or縦の駆け引き

これが最もシンプルかつ分かりやすい1対1の駆け引きでしょう。

オフェンスが右利きなら左サイド、左利きなら右サイドのペナルティーエリアの角付近で闘わせます。

すでにシュートレンジに入った状態で始めるのが良いでしょう。

ボールの配給は大人がパスしてあげても良いですし、子供同士のパス・リターンで始めても良いです。

オフェンスがボールを触ったら、なんて設定でも良いかもしれません。

スムーズかつリアリティをなるべく持てるように、ルールを決めましょう。

ここでも何をとるかです。

そしてオフェンス側がボールを運び始めたら、駆け引きが始まります。

基本的には縦を狙いつつカットインからのシュートを狙うでしょう。

ゴールの設定は、キーパーをつけても良いですしいなくても良いです。

その場合はコーンなどでコースを制限しても良いでしょう。

また縦に突破してクロスを上げても得点できるようにミニゴールを追加で設置するのも効果的です。

練習②:フィジカルコンタクト初級編の1対1

相手とボールの間に身体を入れてボールをキープする術を身につけるためのトレーニングです。

フットサルコートサイズくらいで子供2人をコート中央に配置します。

そしてそこにボールをポーンと高く投げ入れてスタート。

またルールを「3回地面についたらボールにプレーして良し」とします。

このようにすれば、ボールがバウンドする間に足を使わない闘いが始まるはずです。

身体をぶつけたり、回り込んだりしながら駆け引きをすることでしょう。

ゴールは方向をつけず、どちらでも狙えるようにすると守備者が途中で闘いを放棄して待ち構えるのを防げます。

練習③:相手を背負った状態から横に運ぶ1対1

続いてはよくミドルサードで見られる運び方の練習です。

オフェンス側が後ろ向きにボールを受けて、相手を背負った状態から始めます。

ゴールはオフェンス競技者の斜め後ろに2つ設置し、右か左に反転して運ぶことを目指します。

コーンもしくはマーカーを2つおいてラインゴールにするのも良いでしょう。

この時のゴールを設置する角度はやりながら程よい位置を探します。

後ろ向きの状態で左右に相手を揺さぶる駆け引きの中で、アウトサイドのターンや手の使い方、ボディフェイントなども身につけられるはずです。

もちろんディフェンスに前を向かせないような対応させることも大切です。

1対1トレーニングのコツは『複数ゴール』

ここまで解説してきて、やはりコートを試合と同じ設定にしすぎると1対1という状況に違和感が出てきます。

そのため攻撃側の選択肢を増やすためにも『複数ゴール』がおすすめです。

2つ以上のゴールに対する選択肢があることで駆け引きが生まれ、より練習の質は高まります。

ミニゴールやマーカーを用いたラインゴールであれば、すぐに設定を変えることもでます。



楽しければOK‼しかし子供の「つまらない」には必ず耳を傾ける

今回は珍しく練習メニューを紹介しましたが、親子でサッカーをするときはあまり”練習”になりすぎず、レクリエーション的に行うことをおすすめしています。

これがあまり練習メニューを紹介したくない理由の1つでもあります。

むしろ子供が楽しんでいるのであれば、冒頭で紹介した「試合と違いすぎる状況の1対1」でも全く問題ではありません。

内容に限らず子供が楽しんでプレーすることが大切です。

クラブ・スクール以外でも楽しんでサッカーをするような子は遅かれ早かれ上達します。

もし練習①〜③のどれかを試してみて子供が「つまらない」というのであれば、「そうか、ごめんな。何がしたい?」と子供の気持ちも聞いてみてあげてください。

子供は親と遊びたいものですし、サッカーが好きでないと今後の向上もあり得ません。

やはり保護者と指導者ではその役割において代替できない部分があります。

指導者はいくらでもいますが、保護者は限られます。

そこを間違えないようにだけ気をつけていただければと思います。

まとめ

結論、『1対1』は扱いにくいトレーニングだけど使いようはあります。

しかし、何のアレンジもなくコートに攻守2人で、となるとすこしリアリティに欠けるというのが本音です。

しかしそれは指導者としての話。

保護者の方は代えのきかない”親”として子供に寄り添って頂けたらと思います。

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